もうすぐ30

 先ごろ80歳代で亡くなられた上岡龍太郎氏が出していたシングルレコードが実家にあった。
 題名は「もうすぐ30」。
 歌詞は忘れてしまったが、もう若くはないという諦念を含めているのか、これからは大人として責任が重くなる、というのか。

 若さのみを重んずる、この国のかつての風潮もあり、30歳という年齢には、20歳代までの身には特別なニュアンスがあったろう。
 もう若くはなくなる。そんな恐れと諦めが交錯するイメージをもった年齢だと、自分もその年代では思っていた。
 「来年は30歳。あとは余生なり」などと、生意気にも嘯いていたのである。

 それから30年余。還暦をすっかり過ぎてみると、もはやなんとも思わない。
 ただ、ここまで早かったなぁと感じるのみである。

 この還暦を「逆30歳」と仮定して、ここから年ごとにひとつずつ引いてみる、という試みはどうだろう。
 年々若くなり続けると考えるのである。すなわち逆27、逆23…。
 30年も経てば0歳に。
 なぁに、そこからは「生まれる前」に戻るだけのことだ。
 

 

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