たばこはお断りします
自宅付近のファミレスでは、このほど改装にともない喫煙席を廃止した。
これまではガラスで仕切られた喫煙席があったのだが、ドアはなく煙は流れ放題。エアーカーテンがあったものの役には立っていなかった。
食事のあと帰宅すると衣服にたばこのニオイがついており、しばらく咳が止まらないこともあった。
それが一転してきれいな空気になり、件のファミレスの快適度は増した。
現在ほど分煙が進んでいなかった時代には、自分では喫煙しないにしても周囲に煙があふれていたので意識せず煙に対する「耐性」ができていたのだと思う。
しかし現在は少しでも煙のニオイがするだけで、体と精神が即座に拒否反応を示す。
私がこれまでの生涯でたばこに手を出さなかったのは、煙が嫌だったこともあるが、何よりも「火」を扱うことに拒否感と恐怖心があったからだ。
小さな頃にマッチをいたずらしていて、どういう加減か箱の横の茶色い部分にさわってしまい、炎が指先から手の甲まで回ってきたことがあった。
驚いて手を離したが、そのとき母が気づかなければ大変なことになっていたはずだ。
そのときの強いショックは精神の奥底に刻み込まれたようで、大きくなってからもマッチやライターはもちろん自動着火のガスコンロに火をつけることさえ怖くなったのである。
当然ながら、たばこのような火のついたものを手に持つことは考えられず、まして口にくわえたり、顔のそばに持ってくるなど耐えられない話だ。
よくもまあ、髪に燃え移ったり服が焼けたりしないものだと思う(そんな光景は見たことがないが)。
従来日本の社会は喫煙に甘いといわれていたようだが、最近は強烈な行政指導の効果もあってか、分煙化が進んでいる。
駅の近くでガラスの壁に囲まれた喫煙スペースの風景を目にすることがあるが、笑顔でいる人や幸せそうな表情を見ることはまれだ。
嗜好品のひとつと見られていたたばこも、今では「薬物依存と精神依存」という病的なものであるとの認識になっている。
理由は何であるにせよ、自分としてはたばこに心身を侵されなくてほんとうによかったと心から思う。
Original 11 aug 2017
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