歌謡曲とは

 ネットのクラウドミュージックサービスのおかげで試せる音楽のジャンルの垣根が低くなった。
 とはいえ私は、もっぱらモダンジャズを聴いており、ますます大学時代の下宿生活と同じ感覚になっている。コーヒーを飲みながらだらだらと時を過ごした思い出が、今また現実のものになっている。
 そこへ先日突然思い出し、クラウドで「都はるみ」の初期の名曲を聴いてみた。
 歌詞が1番から2番へつながる時、「ここでセリフはなかったかな?」と自然に考えた。実際にはないのだが、流れ的にあってもおかしくない気がした。
 そういえば子供の頃に聴いた歌謡曲や演歌にはセリフや語りが入っているものが少なくなかった。
 歌詞自体が持つ物語の流れに沿って歌と音楽が導き、途中セリフや語りで盛り上げ、歌と音楽でエンディングを迎える。
 それは、「浪曲」の影響が下地にあったのではないか。
 かつて浪曲は現在では想像もつかないくらいの花形芸能であったことを考えるとうなずけるところだ。歌謡曲は浪曲の伝統を引き継いで育ってきたのだろう。
 近年、落語をはじめ歌舞伎や能などの伝統芸能の人気の高まりとともに、浪曲も息を吹き返しているという。喜ばしいことだ。
 久々に新宿の寄席に行きたくなった。そして浅草の浪曲専門の定席も訪ねることにしようと思う。

Original 16 jul 2016

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