2016年 都知事選挙によせて

大学に入って上京して間もない頃、テレビで天気予報を見ている時に気づいたのは「東京地方」という言い方だった。「東京地方の明日は晴れ時々曇り・・・」などと伝えている。
 大分県で生まれ育って進学するまでそこで過ごした私にとって、東京は地元大分に対して「中央」という認識だったので、東京”地方”という言葉に違和感を持ったのである。
 確かに東京も一地方であるには違いない。そこで育った人々をはじめ多くの人が暮らしている実生活の場なのだから。決して官庁や大企業の本社などが集まる場所という概念としての「中央」だけではないのだ。
 縁あってこの地に数十年間を暮らすあいだ、幾度となく都知事選挙を迎えた。
 首都の首長を選ぶだけに他の地方とは役割が異なると思うが、今回の選挙は参院選の直後という展開になったためか、当初次々と名乗りを上げてくる候補者は国政レベルの選挙であるかのような観念的な主張を掲げる発言が目立った。
 人間が暮らす場所の責任者でありリーダーとしては主張の置き方が違うのではないか。選挙戦が進むにつれ具体的な主張に変化してくるとは思うが・・。
 過去の知事が行った施策で、私個人としてありがたかったのは「ディーゼル車の排ガス規制」であった。
 渋滞が一日中続く幹線道路沿いの拙宅では、かつてひどい大気汚染に悩まされていたのだ。
 スーパーマーケットでもらうポリ袋を室内に置いておくと、サッシ窓を閉めていても数日間で表面にうっすらと油膜と黒いススがついてしまうのだった。
 それも規制後は徐々に解消して、空気もきれいになったのである。今はススがつくことはない。
 広い範囲の住民にとって健康に直結する有用な施策だったといえるだろう。それまでどの知事もなしえなかった強力なリーダーシップ発動のおかげである。目に見える成果を出してこそ住民のための行政ではないか。
 今回の知事選は妙な展開で迎えたが、ネットでの運動解禁と選挙権年齢が引き下げられた成果を参院選に続いて実証するいい機会となった。
 願わくばよきリーダーを得て、五輪をいい形で迎えたいものである。


Original 17 jul 2016

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