謹賀新年 2016

 今年も正月を迎えた。多くの人は年末年始の期間は毎度決まった行動をするのではないか。
 帰省するとか、どこか決まった場所に出掛けるとか。それをしないと何となく落ち着かない気がする。年に一度のことだからこそ、意識的に同じ行動をして過ごすことにしているのでは、と思う。

 大学2年生当時、帰省していた私は、早々と1月3日に東海道新幹線で東京に向かった。大学の後期試験が迫っていたからである。
 しかし新幹線の指定席は予約できず、自由席も満員御礼。それどころか、デッキまで「朝の山手線状態」であった。
 人に押されながらトイレの脇で我慢してようやく新大阪へ到着した。
 そのときの車内は人の体温で30度近くあろうかと思える暑さだった。その高温に我慢できず電車を降りた。次に来る「こだま」ならすいているだろうということも想定してのことである。

 だが、来たその列車は到着時から満員。同様にデッキで押されながらの乗車となった。
 京都を過ぎたあたりで気分が本格的に悪くなり、次の米原で降りてしまった。
 降り立ったプラットホームは寒風が吹きすさぶ雪の世界であった。
 あまりの急激な気温差に体は一瞬のうちにダメージを受け、重い風邪のような状態になってしまった。
 「しまった」と思ってももう遅い。
 雪煙を立てながら電車は行ってしまったのである。
 なかなか来ない次の列車を震えながら待ち、東京までなんとか我慢して夜中に我が下宿にたどり着いたと同時に倒れ込んでしまった。
 その後数日外には出られず、学校の後期試験は受けたもののさんざんな出来だった。
 それから春休みを迎える日まで体調は回復しなかった。
 その年以来、年末年始の帰省はご遠慮している。
 もっとも今は隠居の身。無理してその時期に乗らなくてもいいのは幸いである。

Original 03 jan 2016

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