バブル時代の思い出 #2

 バブル時代の思い出の続きである。
 昨日の記述をきっかけにいろいろ思い出してしまった。
 そのなかでも最も腹立たしい記憶はこうである。

 私は会社を早く出られたので(といっても夜だが)、新宿でひとり食事をした。
 その帰途、ふとした気まぐれからタクシーで帰ることにした。
 大通りに面した乗り場にはすでに数十人の長い列ができており、その最後尾に並んだ。
 ほとんどの人が1人での乗車で、遅々として列は消化されない。
 待つこと1時間ほどでようやく私は列の先頭に出た。
 しかしそうなってからが長い。まったく空車が来ないのである。
 そのままさらに30分以上が経過。
 その時、列の10人くらい後方にいた酔客の中年男性が大声の独り言で不平を並べ始めたのが聞こえた。
 「全部1人(乗車)じゃねえか! 全然進まねぇ!」はごもっともとして、次の言葉に驚いた。
 「おい、一番前のお前! 若造! お前、年収はいくらだ!」
 ”若くて金もないくせにタクシーとは生意気だ”
 なかなか順番が来ない苛立ちまぎれにそう言いたかったのだろう。
 あまりの無礼な言い草に腹が立って、こちらもいきり立って振り向いた。
 次の瞬間、私の強い怒りの気配を察したか、私のすぐ後ろに並んでいた年配の男性がその男に向かって「××君、やめたまえ!」と鋭く叫んだ。
 どうやらその人は上司だったらしい。男はいきなりおとなしくなった。
 「すみませんね」と上司氏は私に声をかけてくれて自分の気はひとまず収まった。

 その頃は何かというと「年収」なる尺度で人を測る空気ができていたのである。
 学歴や出身校で人を見たり「勝負付け」をしたりする空気も嫌なものだったが、それ以上に金銭というものが前面に出ている点で意地汚い感じがする。私は「年収いくら?」という言葉に今でも嫌悪感を催す。
 バブル時代の気分の嫌な面を表す記憶である。

Original dec 14 2015

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