街角の素人探偵

　ある午後、玄関を出てみると、前の通路に破れた袋とゴミが散らばっていた。

　おそらく集積場からカラスが引っ張ってきたものだろう。

　そのままにしておけば、さらに散らかってひどいことになるので私が片付けることにした。

　手袋をしてゴミをひとつずつ、つまみ上げながら用意した別の袋に収めていく。

　惣菜・弁当の容器

　タバコの空き箱

　ティーバッグ

　おや、心臓の薬の箱が

　これはカードの明細ハガキだ

　通販伝票の明細は破りもせずに

　ゴミを片付けて、集積場に持っていきながら、排出した人のプロフィルは容易に想像できた。

　それはどんな人か。

　

　自炊はせず食生活は偏っている。

　心臓がよくないようなのに、喫煙はやめられない。

　通院していないことは、売薬をネット通販で購入していることでわかる。

　そして、ゴミ出しの方法と指定日は守れない。　おそらく単身者。

　遺留物が与える情報の濃密さ。捨てた人物にはその危険性は想像もつくまい。

　どうだ、怖いでしょう。

　

　そうそう、郵便物などはご住所のポストに入れておきましたよ。