100年インタビュー

 NHK−BSに「100年インタビュー」という番組がある。
 1回の放送ごとに高名な作家や俳優らが1人ずつ出演し、自身の半生を振り返りつつ、出生地を訪ねたり、思い出の場所などを巡り歩いたりしながらインタビューに答えていくという構成だ。
 風景の中で淡々と独白のように出演者自身のことや思い出のエピソードが出演者自身の口やナレーションを通じて語られ、故郷や記憶に繋がる場所の風景が映し出されていくのを追っていると、その人物の体験と人柄が解っていく構成になっている。

 だがこの番組の真の意図はそれだけではない。
 100年後の未来の人に見てもらうことなのだ。

 番組の最後には、出演者が一人カメラに正面から向き合い視聴者に語りかける部分がある。
 これが番組の最高の見どころだ。
 出演者は100年後の人々を意識して語りかけるのだが、大抵の場合、話の途中から感極まったような表情になり、泣きそうになるのを堪えているかのように見えるのだ。
 「これを観る100年後の人たちの時代には、確実に自分はもういないんだ」と思うと、堪らなく寂しくなるのだろう。自分のいない世界をリアルに想像して実感してしまうのだろう。
 だからその語りかけは、より切実さを増す。
 
 数年前、私はこの番組を観ていて単純にそう思って、100年後の人たちに想いを馳せ胸を熱くしていた。
 しかし、昨今の情勢を見ているとどうだろうか。
 その時代には日本語がわかる人々がこの国にいるのだろうか。
 いや、この国があるのかさえ不安になることが増えてきた。
 願わくば100年後は今よりも良き国と人々になっていてほしい。
 いま、周辺国家の不穏な動きに加え、ウイルスという見えない敵の侵攻をも受けている。
 「100年前」の我らが負う責任は重い。

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