バブル時代の思い出

不況の時代といわれるようになって久しい。
 近年出版されたものやネット上での記述を見ると、「バブル時代」を思い出して”その時代は良かった”と回顧するものがよくある。
 その時代、私は20代後半であった。社会人になったばかりの私の記憶では良かった思い出などひとつもないのである。
 確かにニュースなどでは金融関係や不動産関係の企業ではボーナスが倍増などという話を聞いたが、自分のところは逆に下がる一方であった。
 深夜仕事帰りに繁華街を通ると酔客が大群をなしており、そのそばを通るのが苦痛であったことを思い出す。急に暴れ出す者が現れたり嘔吐したりされると、狭い歩道上では逃げ場がなくて危険ですらあった。
 よくテレビなどで「バブル時代は都内で夜間にタクシーが捕まらなかったので、手にした一万円札を振って捕まえようとしていた人を見た」という話を聞く。
 いかにもその時代の気分を表しているようなエピソードだが、私はそんな光景を見たことがない。
 仮にいたとして、振っていた一万円札はどうするつもりだったのだろうか。
 運転手さんへチップを出すぞというアピールか? 運賃は払えるぞというアピールか?
 よくわからない。いずれにしても合理性を欠いた行動であることは間違いない。
 第一、その時代は流している空車などはめったになく、新宿でも渋谷でもタクシー乗り場に並ばなければならなかったのでは? それも長い列に。
 それにしても「現金を振って見せる」とはなんと品のない行為であることか。慎み深い日本人の行動様式には本来ないことのように思うが。
 
 不況になったのは残念である半面で、都内は落ち着いた雰囲気になっている点で当時よりも住みやすいと私は思っている。まあ収入は一段と減ったにしても、無理をしなければいいだけのことだ。

Original dec 14 2015

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